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後鼻漏のよくあるご質問

後鼻漏のよくあるご質問

Q1:後鼻漏は普通の鼻水とどう違うのですか?

A1:通常の生理状態下では、鼻の中で産生された鼻水の多くは無意識のうちにノドの方へ運ばれ、排除されていきます。

ところが、なんらかの原因で鼻水の量、もしくは質に異変(病的変化)が生じますと、たとえば鼻水の量が多く増え過ぎたり、鼻水の質が濃くなり過ぎたりした場合、鼻水がノド、とりわけ鼻とノドの境目の上咽頭を通過する際に、ノドの異常感覚(違和感、不快感、異物感など)を自覚することがあります。

このようなノドの異常感覚の症状をもたらす異常な鼻水(非生理的な鼻水)のことを後鼻漏(「真性後鼻漏」)と言います。

Q2:後鼻漏と後鼻漏感はどう違うのですか?

A2:どちらもノドの異常感覚(違和感、不快感、異物感など)が自覚されますが、その原因となる 非生理的な鼻水である後鼻漏が見られる場合(実際に鼻水が分泌している場合)と、その発生が全く確認できない場合(実際に分泌物は出ていない場合)があります。

実際に分泌物は出ていない場合は後鼻漏感といって、あたかも後鼻漏がノドを降りたり、へばり付いたりするような異常感覚があるのですが、後鼻漏の実体は存在していません。

一般に後鼻漏と言う場合には、実際に鼻水が分泌している後鼻漏をさしており、その性格から医学的には「真性後鼻漏」または「鼻性後鼻漏」と言います。それに対して後鼻漏感、すなわち実際に分泌物は出ていない後鼻漏は、「仮性後鼻漏」または「鼻外性後鼻漏」と呼ばれます。

Q3:後鼻漏(「真性後鼻漏」)はどのように発症するのですか?

A3鼻腔や副鼻腔を含む鼻の中の粘膜に出現した、あらゆるタイプの炎症反応は、基本的にすべて後鼻漏の発症につながる可能性があります。

つまり、鼻粘膜のなんらかの炎症反応に伴って異常に産生された炎症性分泌物こそ、後鼻漏の正体と考えてよいでしょう。鼻粘膜の炎症反応を来たす主な鼻副鼻腔の疾患の典型例としては、鼻カゼ、アレルギー性鼻炎(花粉症)、急性/慢性鼻副鼻腔炎などがよく知られています。

Q4:後鼻漏(「真性後鼻漏」)はどのように診断されるのですか?

A4:異常な鼻水が現れる背後には、必ず鼻副鼻腔の炎症性疾患の存在が疑われます。

その診断は、鼻内の局所所見、および鼻副鼻腔の画像検査から最も決定的な情報が得られます。ですから、とくに鼻の不調が感じられた場合は、耳鼻咽喉科専門医を受診されれば、早期診断や早期治療に的を絞られるでしょう。

また、時に過剰診療と思われがちですが、より正確に鼻内所見を捉えるためには、できれば通常の鼻鏡検査(ほぼ無痛)よりも鼻咽腔ファイバースコープ検査(多少の鼻内の不快感を生じる)の方が、また副鼻腔の病変をより正確に読み取るためには、できれば単純レントゲン検査(放射線量が少ない)よりも、CT撮影検査(放射線被曝のリスクよりも放射線診断のベネフィットの方が遥かに大きい)の方が望ましいと考えられます。

特に、頑固な後鼻漏を伴う副鼻腔真菌症や蝶形骨洞炎、好酸球性副鼻腔炎(鼻茸の増生)などといった特殊な副鼻腔の炎症性疾患を診断する際には、鼻咽腔ファイバースコープ検査もCT撮影検査も絶対に欠かせない検査手段として重宝されています。

Q5:後鼻漏(「真性後鼻漏」)は、どのような原因疾患が関与しているのですか?

A5:後鼻漏(「真性後鼻漏」)を来たし得る鼻副鼻腔の原因疾患としては、代表的なものとして以下のものがあります。

①上咽頭炎/咽頭扁桃炎
②胃食道逆流症/咽喉頭酸逆流症
③口腔乾燥症
④アトピー疾患(咳喘息、アトピー咳嗽、喉頭アレルギーなど)
⑤嚥下障害(脳疾患、サルコペニアなど)
⑥生活習慣病(糖尿病、肥満、睡眠障害など)
⑦咽喉頭の腫瘍性病

Q6:後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)はどのように発症するのですか?

A6:異常な鼻水の後鼻漏がないのに後鼻漏の症状を感じるのが、後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)の最大の特徴です。その原因は、なんらかの異常な分泌物が鼻副鼻腔以外の臓器から発生し、ノドを刺激して後鼻漏のような症状をもたらしてしまうことが伺われます。

その最たる例は、上咽頭炎です。それ以外には、たとえば、胃食道逆流症に伴う胃酸の逆流によるノドへの刺激によって生じるもの、嚥下障害に伴って余分な口腔咽頭の分泌物(唾液など)がノドに溜まり、ノドを刺激することによって生じるもの、さらに咽喉頭神経症のようにノド自身の神経ネットワークの過剰反応(易刺激性)に伴い、ノドの過敏症状として後鼻漏感が現れるものなどがあります。

Q7: 後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)はどのように診断されるのですか?

A7:異常な鼻水の後鼻漏が生じない後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)の場合、その原因は鼻副鼻腔の疾患ではありませんので、鼻内の局所所見や副鼻腔の画像診断だけでは後鼻漏感の具体的な臨床像や原因疾患を明らかにすることは、ほぼ不可能です。

この場合は鼻副鼻腔よりも、むしろ後鼻漏感を来たし得る鼻副鼻腔以外の領域においての様々な関連疾患を重点的に調べていかなければなりません。ただし、後鼻漏感の発生と関わり得る疾患はあまりにも多種にわたりますので、疑わしい疾患の優先順位を決めてから診ていかないと、しかるべき診断と治療に辿りつくまでは莫大な時間と労力がかかりかねません。

たとえば、「胃食道逆流症」が疑わしい場合は、優先的に喉頭ファイバースコープ、もしくは胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が施行されます。また、「嚥下障害」の関連が疑わしい場合は、積極的に嚥下内視鏡検査や頚部/頭部の画像診断が行われるでしょう。

いずれにしても、後鼻漏(「真性後鼻漏})以上に、耳鼻咽喉科専門医の元での精査が必要となります。

Q8:後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)は、どのような原因疾患が関与しているのですか?

A8:後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)を来たし得る原因疾患として、代表格なものには以下のものがあります。 
①上咽頭炎/咽頭扁桃炎 
②胃食道逆流症/咽喉頭酸逆流症 
③口腔乾燥症 
④アトピー疾患(咳喘息、アトピー咳嗽、喉頭アレルギーなど)

嚥下障害(脳疾患、サルコペニアなど)
生活習慣病(糖尿病、肥満、睡眠障害など)
咽喉頭の腫瘍性病変、など。

Q9:上咽頭炎はどのように後鼻漏と関わっているのですか?

A9:もともと後鼻漏は、ノド、とりわけ鼻とノドの境目の上咽頭に異常な鼻水が現れることによって自覚されますから、根本的に異常な鼻水の出現がなければ後鼻漏の発症も起き得ません。ところが上咽頭に炎症が起こった場合は、そこに直接上咽頭由来の炎症性分泌物が多く現れるため、たびたび後鼻漏のような症状が感じられることがあります。

つまり、上咽頭炎に伴って発症した後鼻漏は、実際に鼻水が分泌している後鼻漏(「真性後鼻漏」)ではなく、後鼻漏感、つまり実際に分泌物は出ていない後鼻漏(「仮性後鼻漏」)です。

確かにノドへの炎症性分泌物の出現や刺激によって後鼻漏の症状がもたらされることだけに着目して考えた場合は、主に鼻副鼻腔の疾患に伴って発生する一般の後鼻漏(「真性後鼻漏」)と、上咽頭炎に起因する後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)との差はあまりないように思われます。

しかしながら、どこの疾患部分にフォーカスするかによって、治療内容に雲泥の差が出てきますので、今自覚されている後鼻漏の症状が、上咽頭炎による「仮性」のものか、それとも鼻副鼻腔炎による「真性」のものかを確認しておくことは、その後の治療を的確に進めるためにはとても重要です。

Q10:上咽頭炎はどのように治療されるのですか?

A10:上咽頭は、もともとリンパ組織に富み(咽頭扁桃)、また解剖学的位置から、鼻から吸入された空気中に含まれる細菌、ウイルス、アレルギー物質(花粉、埃など)、有害ガスなどが人体中に侵入する最初の門戸でもあることから、非常に起炎しやすい臓器の一つとして知られています。

医学的にも「感染臓器」、「生理的炎症臓器」と言われるように、上咽頭は常に炎症に曝されている状態の中で本来の生理活動を営まなければなりません。このような過酷な“労働環境”は、上咽頭における炎症のオーバーヒートをいともたやすく引き起こします。その結果、咽頭痛をはじめ、咽頭異物感や咽頭流下感、咽頭付着感などに見られる後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)の症状がもたらされるのです。

このような炎症のオーバーヒート現象を治すためには、もちろん適切な消炎剤や抗菌薬などの使用は言うまでもありませんが、上咽頭の生理的起炎性を考えますと、頻繁に起き得る炎症の長引きや再発に対して、投薬のみの治療はいずれ限界にぶつかってしまいます。

そこで、よく利用される治療手段の一つとして、昔からある「B-スポット」療法があります。また、炎症性肥大を伴う咽頭扁桃に対しては、積極的に外科的減量術も考えられます。

Q11:上咽頭炎に対して Bスポット療法は、どのような効果が期待されるのですか?

A11:Bスポット療法は、特殊な医療用綿棒や咽頭捲綿子などにて、1%に希釈した塩化亜鉛水(消毒液の一種)を直接上咽頭に塗りつけることによって、上咽頭に対する殺菌効果、および局所の炎症性分泌物や病的粘膜の除去効果が期待できる、歴史のある上咽頭炎の局所療法の一つです。

治療にあたっては、大掛かりな設備や機器などの必要がなく、簡単に施術できるという手軽さがあります。一方で、施術に伴う出血や痛みの出現、時として非常に耐えがたい強い痛みや多くの出血が見られることがあり、決して楽な治療とは言えません。

また、消毒液としての1%塩化亜鉛の作用効果はそれほど強いものではありませんので、稀に短時間で劇的な改善が見られるごく一部の症例を除き、大半のものは上咽頭炎(後鼻漏感)の軽快が得られるまでに、多くの治療回数や長い治療期間を要します(週に数回、何年間も続けることも度々見かけられます)。

根性と根気が試される療法ですが、現時点では、従来の治療法の中で上咽頭炎に対して、中でも頑固な後鼻漏感(「仮性後鼻漏」)を伴う慢性上咽頭炎や肥大性咽頭扁桃炎の場合は、総合治療価値の平均点として、Bスポット療法に勝るものはないと言えます。とはいえ、鼻副鼻腔疾患に由来する後鼻漏「真性後鼻漏」)に対しては、全く直接的な効果は得られません。

Q12:アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)に伴う後鼻漏は、どのような特徴が見られますか?

A12:鼻の粘膜に炎症が生じることによって、くしゃみや鼻漏(鼻水)、鼻閉などの鼻症状が来たされるのが鼻炎の類です。アレルギー性鼻炎の場合は、さらに以下のようなことで特徴づけられています。
① 炎症は、感染ではなくアレルギー反応によるものであること
② 鼻症状は、発作的、かつ反復的に起きること
③ 感染性炎症ではないために、鼻漏、すなわち“異常な鼻水”は、決して色が付いたり、膿んだりしないこと
④ 鼻症状は、必ず両側性に見られること
そして、これらの条件が揃った上で、“異常な鼻水”が上咽頭の方へ回り始めたら、本格的なアレルギー性後鼻漏(「真性後鼻漏」)の発症と考えてよいでしょう。
初期の「アレルギー性後鼻漏」の特徴は、アレルゲン(抗原)の曝露により、一気に大量に増えた“異常な鼻水”の大半は、ほぼ無色透明のサラサラした水っぽいもの、すなわち「水様性鼻漏」ばかりです。多くの場合は、鼻の外(外鼻孔;鼻の外へ)にも、鼻の後ろ(後鼻孔;上咽頭の方へ)にも、同時に溢れて来ます。

そのため後鼻漏の症状は、往々にして水がノドを流れているような流動感が自覚されます。そして、長年アレルギー性炎症を放置し続けますと、粘膜下の鼻腺(鼻水を分泌する腺細胞組織)の増殖やその性質の変化により、サラサラとした水様性鼻漏が、段々粘り気を帯びた「粘性鼻漏」に取って代わられます。後鼻漏の症状も“水”が流れているような流動感から、“もの”がノドに粘りつく、まとわりつくような付着感に変化していくことが多く見られるようになります。

Q13:アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)に伴う後鼻漏は、どのように治療されるのですか?

A13:鼻炎の重症度を問わずアレルゲンの曝露を避けることが、「アレルギー性後鼻漏」に対する最も重要かつ有効な対策です。さらに薬物治療を組み合わせることにより、一層効果的に症状を軽減することができます。

治療薬は、主として経口薬と局所噴霧・点鼻薬の2種類があり、それぞれには、さらに抗ヒスタミン系、ケミカルメディエーター遊離抑制剤、ステロイド系、抗ロイコチリエン系(経口薬のみ)、抗トロンボキサン薬(経口薬のみ)、サイトカイン阻害薬(経口薬のみ)、交感神経刺激薬(局所噴霧・点鼻薬のみ)などの種類があります。

薬の選択や飲み合わせ、使用するタイミングなどは、鼻炎の程度や症状の出方、薬の副作用(とくに抗ヒスタミン経口薬による眠気)、薬と体質の相性(薬効の現れ)などによりますので、耳鼻科専門医の指導が必要です。一般的には抗ヒスタミン経口薬とステロイド点鼻薬が、最も効果的な治療薬と考えられます。

効果以外に、薬の安全性、副作用およびコストパフォーマンスなども考え合わせますと、通常ステロイド点鼻薬(鼻内噴霧薬)が、アレルギー性鼻炎(「アレルギー性後鼻漏」)の第一選択薬としての利用価値が非常に高いと思われます。

ちなみに、ステロイド点鼻薬が鼻腔内粘膜に作用してから鼻炎症状が軽減し始めるまでの時間は、約12時間以内という傾向が見られます。そして、その薬効が最大に発現するには、およそ2週間の継続投与が必要とされます。

そのため単発的に使ったり、また思うように鼻漏/後鼻漏の改善効果が得られないからと、数日使用してすぐ止めたりしないように心掛けることが大切です。

Q14:ステロイド点鼻薬とステロイド筋肉注射はどう違うのですか?

A14:強い抗炎症作用をもつステロイド(副腎皮質ホルモン)は、現在アレルギー性鼻炎に使われている様々な治療薬の中で、最も高い効果が期待できる薬です。ただしステロイドの使い方によっては、思いがけない様々な副作用や合併症(たとえば、中心性肥満、満月様顔貌、消化管潰瘍、糖尿病、骨粗鬆症など)に見舞われることがあります。

そこで、ステロイドによる副作用や合併症を最小限に抑えつつ、望むべき高い治療効果が得られる、もっとも安心で安全な治療法は、点鼻(鼻内噴霧)によるステロイドの局所投与です。これはアレルギー性鼻炎の定番薬である抗ヒスタミン剤の内服投与に比べましても、アレルギー性鼻炎の四大症状である、くしゃみ、鼻づまり、鼻漏および鼻腔内の掻痒感(痒み)の何れに対しても、より優れた治療効果を示しています。

ただし、ステロイド点鼻薬は、即効性に欠けており、ある程度の治療効果が現れるまでには、少なくとも数日間以上の連続使用を必要とします。また、その有効性を維持するためには、長く投与をし続けなければならないという短所があります。

それに比べて、注射1本で多量のステロイドを全身に投与できる筋肉注射法は、治療の即効性、継続性において、実に優れています。通常一回の筋肉注射で、ほぼ即時に、しかも長期間に、場合によっては数カ月以上にも亘って鼻の諸々の辛い症状から解放されていきます。

さらに他の治療、たとえば抗アレルギー薬の併用などもほとんど要らなくなるほど、生活面でも楽になります。一方で、筋肉注射による多量のステロイドの全身投与は、種々の全身的な副作用や合併症をもたらします。

しかも、その高い治療効果を期待して何回も注射を繰り返してしまいますと、体がステロイド漬けになり、特にホルモン系統や免疫・自律神経系統の著しい乱れや衰えが生じます。体が非常に感染症にかかりやすい状態(日和見感染)になってしまうのです。 局所投与のステロイド点鼻薬は、ほとんどそのような心配がありませんので、より安心して利用できます。

ちなみに花粉症(アレルギー性鼻炎)に対して、日本アレルギー学会も日本耳鼻咽喉科学会も、原則上筋肉注射によるステロイドの全身投与は、望ましくない治療としています。

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